2008 |
04,26 |
記者会見。緊張する会議室。アトリエ劇研演劇祭参加団体の代表たちが顔をそろえて、テーブルの前にちん、と座っている。向こう側には各新聞社、雑誌社の担当者の方々。あと3分で開始……誰も喋らない。静か。ことり。誰かがペンを床に落とした。「すいません……」小声で彼は言った。けれどその声は皆に届いた。意味もなくうなづくアーチストたち。沈黙はかえって深くなる。……とそのとき。
隣りのダンサー、坂本公成さんの携帯電話がなる。シーン、とした会場に、小声の坂本さんの声が響く。誰もきかないふりしているけれど誰も喋ってないのでいやおうなく耳にはいってしまう。「もしもし、あの、いや、うん。ちょっと今ね、あの。話せないから、あとで、いい、いやあのだから、ちょっと、き、あ、だからき、いいかなあとでかけるね、え?え?うん。だからそれも含めて、え?ごめん。はい。はい。え、はい。あ え お」――きれた。
ちょっとすごい注目されてたよいまの電話。いっそどういうことなのかその場の皆さんに説明したほうが潔くないか?
鈴江は坂本くんにアドバイスしたのだけれど彼はただただ冷や汗ぬぐいながら笑っておりました。
ああ。記者会見って緊張する。
そんな場所で聞かれたら答えようと思って用意してきた役者の紹介です。こだしにします。
・二口大学:彼は人生・哲学を感じさせるストイックな役者です。彼がのびのび稽古すると、演技術は内へ内へと向かいます。どうして役者なのか。どうして演劇なのか。どうして自分はここにいるのか。どうして生まれてきたのか。どうして目の玉はふたつ?どうして菜の花はなのはなっていうなまえ?禅問答の解答を探すみたいな彼の生活がにじみ出て人々を魅了するのかもしれません。関西現代演劇俳優賞ってすごい賞なんです。演出としては彼の禅問答には無関心なふりをして、楽しいことしてよ、笑えることしてよ、わかりやすくしてよ、あっはっはあっはっは、とお願いしてバランスをとってます。
……写真は黄色い花。むこうは白い花のじゅうたん。春です。しずかです。
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